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カーエレクトロニクスの進化を牽引するデンソーが次に目指すもの
デンソーのデバイス技術トップが明かす次世代事業戦略
Tech総研
   カーエレクトロニクスの進化を牽引するデンソーは、車載用半導体をプロセス開発から自前で行っていることでも知られる。同社の技術を根幹から支えるデバイス事業部の技術革新や半導体エンジニアの採用などについて、加藤之啓常務に聞いた。
半導体を使いこなせないと、いいクルマはできない
加藤 之啓氏
常務役員
デバイス事業部 担当
加藤 之啓氏

「今、自動車技術は大きな変革期にあります。車と地球社会の共存のために、CO2など温室効果ガスを削減するための技術開発が急ピッチで進んでいます。最初のキーワードがハイブリッド車、電気自動車などクルマの『電動化』です。デンソーは、1970年代から電気自動車用部品に関する研究をスタートし、1997年発売のトヨタプリウス以降、インバーター、DC/DCコンバーター、電動エアコンなどの製品を量産化してきました。カーエレクトロニクスはデンソーのお家芸とはいえ、クルマの電動化の進歩は日進月歩。それをリードするための技術開発力が問われています」
と語るのは、デンソーでデバイス事業を統括する加藤之啓常務だ。変革期にある自動車技術とデンソーの立ち位置について、さらに氏は続ける。

「もう一つ重要なのは、『エンジンそのものの進化』です。例えば、デンソーが開発したガソリン直噴エンジン用のインジェクターや高圧ポンプは、日本、欧米の大手カーメーカーに採用され、クルマの燃費向上と出力向上に貢献しています。さらに、燃料電池など先進的な要素技術開発にも取り組んでいます。省エネにつながる技術ならば、それらを全方位でやっていこうというのが会社としての方針です」
 こうした全社方針の中で、デバイス事業部はどのような位置を占めているのか──というのが今回のインタビューのテーマである。

「我々のデバイス事業部は半導体の開発、設計、製造を行っていますが、デンソーにおけるポジショニングは年々高くなっています。それはカーエレクトロニクスを支えるコア技術が半導体だからです。今やハイブリッド高級車では、部品代の半分がカーエレクトロニクス部品に割かれているという話もあるほど。半導体を使いこなせないと、これからの良いクルマはつくれない、といっても決して言いすぎではありません」

デンソー流「垂直統合」──すり合わせの技術で先駆ける

 デンソーの半導体開発において強みを発揮するのは、「垂直統合型」の技術開発スタイルだ。垂直統合とは、自社製品の付加価値の源泉を企業グループ内に保持し、それらを連携させることで、ものづくりの上流から下流までを統合し、自社の競争力を高める戦略だ。中でも自動車技術は異なる技術や細かい部品を「すり合わせる」ことが肝要だとされている。

 その一例として加藤氏が挙げるのが、「パワーカード」だ。HVのパワーコントロールユニット(PCU)に用いられるキーデバイス。PCUを構成する一つひとつのパワー半導体を、両面から熱を逃がす構造とすることで温度上昇を抑制し、これまでの2倍の電力供給を可能にした。IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)素子を銅のリードフレームにはんだ接合し、水冷技術で冷却するところにポイントがあるが、特に新材料を用いたわけではない。社内に保有されている材料技術や加工技術をすり合わせることで完成した。

両面放熱パワーカード

「片面より両面で冷やした方がいい。チップサイズも小さくできる。それは分かっていたが、それを実装するのは簡単ではありません。ウエハプロセス、回路設計、実装といった個々の半導体技術に加え、システム開発から加工技術までも全て社内に揃っているからこそそれが可能になったのです。他の事業部にあるノウハウを融合できるというのも私たちの利点です。パワーカードでは、熱機器事業部にある冷却技術を活用している。これを私たちは“機電一体”の技術と呼んでいますが、これがデンソーならではの強み。部署間を超えて様々なアイデアを出し、それらをすり合わせることで最大限の性能を引き出すことができます」
 と、加藤氏は言う。

 すり合わせの技術開発においては、愛知県日進市にあるデンソー基礎研究所との連携も重要なポイントだ。基礎研は半導体分野では次世代型IGBTの開発や、SiC(炭化シリコン)パワー素子の開発など先端技術のシーズを深化させる役割を持っている。基礎技術研究では、豊田中央研究所との連携も進んでいる。

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